WONDER BOY 小章110森に消えた、ゴミとスカートの男、魔法使いマーリン
スカートの男はオスカーの事を想った、考えた、白い犬を抱えながら、揺れる椅子に座り、ゆっくりゆっくりと揺れて、白い犬の頭を撫でた、ここは森の深い深いところで、誰の声も、眼も、息も届かない、騒がしく、美しい場所、スカートの男はオスカーを是非、ここに連れてきたかった、けれど、あとすこしのところでやめたのだ、ここにはゴミがいっぱいある、まわりはゴミだらけだ、全部、捨ててしまったもの、でも、美しくて、それでもゆっくり眠れるのならば、朝起きて、周りがゴミだらけでもだいじょうぶだと、スカートの男はおもった、この白い犬は、そのゴミを、キャンディーにかえてしまうほどの、力を持っていて、優しい、犬の頭を撫でながら、スカートの男は、魔法使いマーリンのことを想った、あの老いた魔法使いと、魚になって、川に潜り込み、お城へと行きたいと、出れないこの森は、どんどんと広くなり、居心地もいい、いつまでいていい?いつまでいれるかな?、白い犬の黒い鼻は、ぴかぴかで、可愛い、ふわふわの毛は、ドーナッツのような香りがする、その、毛1本1本から、いろいろな、想像が溢れてくる、森の、枝、葉、根、雫からも無数の表現がある、ここは、棲家で、だれも来ないのなら、だいすきなあの音楽を、繰り返し、繰り返し、聴いて、ワインのボトルを何本もあけて、空の上のいちばん上ほうのドアから出るとき、魔法使いのマーリンが待っているから、彼のつくった箒で、ロケットみたいに飛んで、飛んで、宇宙までいって、月まで行って、見たことのない星を発見して、そこに大きな真っ黒い旗を立てよう、それで、地球から配達されるdomino’s pizzaを、踊りながら待つのだ、
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