魔法だらけの話
僕のまわりにある物は魔法の杖の様に、かわるがわる様々な景色、色、模様、音、光線、気配、言葉、匂いを眼に映してくれる、さらには奇妙な白く光る甘い匂いがする物語なども見せてくれる、僕の眼鏡は魔法の杖の様に、小さい頃に見たあのたのしいアニメーションを映し出してくれる、僕の帽子は魔法の杖の様に、翼を生やし、遠くのあのこのところまで連れて行ってくれる、僕の声はバス停で出会ったどこかの国の人との会話をさせてくれたり、裏庭にいるにわとりともじょうずに会話をさせてくれる、そして、おとうとにじょうずな歌を届けることができる、僕の手の爪は魔法の杖の様に、テーブルの上にある冷めた紅茶をコーラに変えてくれる、僕のBMXは魔法の杖の様に、高い木や大きな山を越えて空高くに飛ばしてくれる、僕の図書館で借りた本は魔法の杖の様に、いい匂いがしてとてもきれいな花畑に連れて行ってくれる、僕の白いスニーカーは魔法の杖の様に、どこまでもはやくはやく走っていきたい場所に連れて行ってくれる、僕のスケッチブックは魔法の杖のように、描いたものを眼の前に出してくれたり、僕が描いたワンダーランドへの扉になったり、おなかがすいたときBIG MACの絵を描けばすぐに食べられる、僕のヘッドフォンは魔法の杖のように、どこか遠い国のおんなのこたちの秘密の会話を聞かせてくれたり、生まれたばかりの赤ちゃんとママの愛情たっぷりの会話も聞かせてくれる、僕は魔法の杖をもっている、小さい時、もっともっと小さい時に僕はその杖を暗い長い道の途中で拾った、その杖は大切にもっている、形があるようでない、ほんとはあるのだろうけれど、わからないその魔法の杖はすべてのものに魔法をかけて、起こるすべてのことに魔法をかけて、カエルを王様に変えてようにいろいろなものを変えていく。
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