WONDER BOY 新章5章 LUVの手
それは、しらなかったよ。肝心な道をえらんだ男の子は、遠いバス停に、お気に入りのステッカーをそっと、忍ばせた、絶対、ぜったいにその意味を、問われも、暴かれない事をねがいながら、上にある、夜空の、白く光る点点は、すごい速さで、むこうの森に落ちて行った、森には、深いところに、魔女がいるだろう、黒いカラスでも、黒い猫でも無く、黒い山羊と、グレーの馬を連れていた、毒林檎は、いたる木になっている、そんなものは、食べても問題ないが、問題あるひとだけが、食べては、眠るのだ、その魔女の住む、さらに奥の、もっともりの深いところに、LUV(ルーヴ)は住んでいた、だれにもみつからず、だれにもしられず、そっとそっと、みつけてもらうのを待っていたのだ、LUVはおおきな眼をまっすぐに、そのとおくを見ている、丸められた黒いHATEの塊のドットの雨のなか、その空中を裂いたあいだから、それは現れた、LUVは少女のねがいを、そっと、それに渡す、あとは守るだけ、LUVは、ただひたすら、沈黙で、守るのだ、静かに、自分より小さな世界で、丸くなるものを、守るの。
WONDER BOY 小章47 壁の落書きと蜥蜴、崖から落ちた魔女
どこにいったんだろう、その7人の小人は、夢にまで見た馬車を手に入れて、新しくできたピザ屋に行ってしまった、隣に住む、あの少女は、アイスクリームにマシュマロがのっていなかったことを怒りに、BMXに乗って、遠い町までいった、好きだったあの人は、あの歌が聞こえる森へ行った、森にはとても醜い魔女が4人いる、醜いが歌は人魚の声だった、いつか会った老婆は、花を摘みに広い丘へ行った、丘では、風が強く、老婆の白い三つ編みは吹き飛ばされそうで、黒いあの、何処かへ行った魔法の傘があれば、きっと、どこまでも飛べたはずなのだ、ポテトにケチャップとマスタードをペイントのようにかける、スケーターの男の子は、角のグレーの屋根の大きな家を、曲がったところで、ゴミ箱に突っ込み、そこから黒い兎を拾う、届け物をしにいったあの魔女は、また鳥に襲われて、絵描きの家に落ちたのか、晴れの日は、コーラとビッグマックを、雨の日は白いワインと蜥蜴を、曇りの日は、ただただ指先の魔法で、いつかのモンスターを描く、嵐の日は、ベッドでわらえる話を、7人の小人たちを、そろそろ追いかけようか、老婆は丘で笑い、魔女は踊り狂い、崖から落ちる、スケーターの男の子は、その黒いウサギに、『ヘイト』と、名付けた。
WONDER BOY 小章235蟻と砂糖と、
そんな話、夢の中で、聞いた気がする、指で、丸をつくって、その中からふいた、石鹸のしゃぼんだまは、あのモンスターのもとへ、飛んでいった、ふたごの詐欺師は、おとぎ話と、魔法を散蒔いて、大金持ちになったのだけれど、まいにちまいにち、食事はコーラとチョコバーだった、道路で、轢かれた人形は、近所のあのこが抱えていた、クリスマスはもうすぐで、黒い樅の木下には、黒いあの子のBMXが、電飾でキラキラと輝いている、雪は白から黒に変わり果て、帰りにはマクドナルドに寄ろうか、バーガーキングに寄ろうか考える、真夜中のあの通りは、注意しよう、大きなあの真っ黒のモンスターが潜んでいる、あの棲家には蟻と黒い甘いモンスターを飼った少年が居て、彼のパーカーのフードには、たくさんの物語があった、いっしょにLAに行きたい、蟻が纏わり付いた、指先は、ちゃんとおいしいハンバーガー屋さんをみつける、もっといいものもみつけるかもしれない、パークにいこうか、蟻とそのモンスターと、DIKくんをつれて、でも、なにもしないで、ビールとポテトで乾杯するの!おおきな黒い蟹のモンスターがスケートしているのをみて、わらいながら、大量の砂糖を、彼が飼ってる蟻にあげるだ。
WONDER BOY 小章34モンスターの息子の1時間の出来事
太陽が海の、遠くのほうへ沈む、その直前のころに、真っ黒い毛むくじゃらのモンスターは、ひとり海辺で、静かに憶う、毛に覆われた、深い深いところにある、脳は、1時間前起こっとことを憶いだしていた、炭酸のような海のなかで、黒いモンスターは、チェリーのように、ゆらゆらと揺れていて、おととい聞いた、あの話は、どこまでが、本当で、ほとんどは嘘だったのだろうか、指の先に止まった、あの黒い小さな虫は、静かに潰れて、音も出す間もなく、死んだ、ドーナツをもらいに、あのひとのところへ行った、モンスターは真っ黒のBMXに乗り、コンクリートの灰色は、ウィールに絡まりながら、音と記憶を、すりつぶした、公園に捨てた、あの本が、きのうの真夜中、机のうえにそっと置いてあって、そこからはとてもいい、花の匂いがする、大きな黒いモンスターは、憶う、この僕の世界がちゃんと、真っ白で真っ黒で、そのなかに灰色があったこと、最近、夢にはマコーレ・カルキンがでてこない、でも、僕はちゃんともっている、もっていたし、これからも、ちゃんとある、世界が、僕の、断片の重なりで、できているのなら、これから、産まれてくるであろう、僕のようなモンスターが、輝き、あのこのヘイトを代弁できるなら、1時間前の出来事など、なかったことにできる、スケートパークは続く!、世界を、真っ黒のもじゃもじゃの毛で、覆いかぶして、そのうえで、おきにいりのパークを創って、あのこと、ファックと叫ぼう
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WONDER BOY 小章110森に消えた、ゴミとスカートの男、魔法使いマーリン
スカートの男はオスカーの事を想った、考えた、白い犬を抱えながら、揺れる椅子に座り、ゆっくりゆっくりと揺れて、白い犬の頭を撫でた、ここは森の深い深いところで、誰の声も、眼も、息も届かない、騒がしく、美しい場所、スカートの男はオスカーを是非、ここに連れてきたかった、けれど、あとすこしのところでやめたのだ、ここにはゴミがいっぱいある、まわりはゴミだらけだ、全部、捨ててしまったもの、でも、美しくて、それでもゆっくり眠れるのならば、朝起きて、周りがゴミだらけでもだいじょうぶだと、スカートの男はおもった、この白い犬は、そのゴミを、キャンディーにかえてしまうほどの、力を持っていて、優しい、犬の頭を撫でながら、スカートの男は、魔法使いマーリンのことを想った、あの老いた魔法使いと、魚になって、川に潜り込み、お城へと行きたいと、出れないこの森は、どんどんと広くなり、居心地もいい、いつまでいていい?いつまでいれるかな?、白い犬の黒い鼻は、ぴかぴかで、可愛い、ふわふわの毛は、ドーナッツのような香りがする、その、毛1本1本から、いろいろな、想像が溢れてくる、森の、枝、葉、根、雫からも無数の表現がある、ここは、棲家で、だれも来ないのなら、だいすきなあの音楽を、繰り返し、繰り返し、聴いて、ワインのボトルを何本もあけて、空の上のいちばん上ほうのドアから出るとき、魔法使いのマーリンが待っているから、彼のつくった箒で、ロケットみたいに飛んで、飛んで、宇宙までいって、月まで行って、見たことのない星を発見して、そこに大きな真っ黒い旗を立てよう、それで、地球から配達されるdomino’s pizzaを、踊りながら待つのだ、
WONDER BOY 小章94彼女の皮肉、ロケット花火とホクロ
私はあなたがきらいです。彼女は森に似たスカートと声で大声で叫ぶ、きのう夢にみた、くまはほんとたいしたことがなかった、人間嫌いのクマとの会話は、あの店のタイフードは旨いとか不味いとかそんな話だ、電話がかかってきたので急いでいったのだけれど、急いだかいもなく、やつはまだ来ていない、あなたがきらい、あなたのことがきらいです、キライ、でも、ほんの小さなホクロくらいだったら愛せるだろうか、そんな考えも虚しく、また、一層、二層と、きらいになるのだ、クマは、僕のことはすきでしょう?というから、まあ、好きだねと答えた、でも、クマときたら、うれしい顔もしない、きょうはなにしてあそぶ?花火がしたいね、JACKASSみたいにさ、スケートボードにロケット花火つけてあそぼうよ、パンパンパン!とてもたのしい、これはいいね、とクマと私は、夢中になって、ロケット花火をつけまくってあそんだ、ひまだった日々は、クマと、あの白い犬のおかげで、たすかった、犬と乗った馬は、山や森をかけて、とてもたのしかった、また、電話が鳴る、クマからの電話だ、腕の火傷の後が消えないって、ハンバーガー食べようか、メントスコーラしよっか、飽きないな、こんなことに比べると、あれらのいろいろは、きらいで虚しい、クマと朝方、おおきな葉っぱから、冷たい雫が落ちるのを、手のひらにのせてあそんだ、手は不思議、冷たい、描くし、触る、急に、指差し、きらいって言える、きょうのクマは黒いスーツできた、黒いゴミ袋には、なにがはいっているのか、とおもったけど、きかなかった、スーツでスケートとかマイク・キャロルみたいでかっこよくない?とクマはいった、全く、思わない、と中指を立てた、夢。
WONDER BOY 小章174スーツを着た小人のスケーターの話アンダーライン
僕が帰りにいつも寄る小さなスケートパークにいる小さな男の話、小さな男は9人いてその1人のスーツを着たスケーターの話をすると、彼はいつも一人でいることがほとんど、極まれに、仲間と思われるスケーター達と4人くらいで話しているのをみた、男は坊主で顔はグレーの印象である、声は高く、ぶかぶかでだぼだぼのスーツをいつも着ていた、スーツの小人の男はいつも黒いゴミ袋を手に持っていてそのなかにはゴミがはいっていた(たぶん)、僕はちょうどこの前その男がコーラを飲みながらランプの上にひとりで座っているのを見つけたので、思い切って近くに寄って話しかけてみた、「こんにちは」スーツの小人の男は何も言わず、じっと僕をみて「ひゃっはっは」と急に高い声で笑い出した、まだ小人の男はじっと僕を見つめる、「だいじょうぶ、あの羊飼いはちゃんと追えるよ」といった、僕は意味もわからず「はい」と言った、小人の男は立ち上がり、ランプを小さく、軽く、速く、降りていった、ランプに描かれたグラフィティのアンダーラインは小人の男の後を追うように動きだし、飛び出してきた、男が滑るスケートのラインとアンダーライン、線はとてもとても美しかった、プールの縁のライン、ウィールのライン、木のライン、電線、スニーカーの靴ひものライン、割れそうなデッキのライン、セクションのライン、BMXのライン、傷のライン、小人の男はいつもバーガーキングのワッパーを食べていて、首を左右に倒しては、首の骨をポキポキと鳴らした、指先は地面をなぞり、その先には変な虫がいた、真夜中に見た夢の話を聞いたとき、おなかが捩れるほど笑った、視線の先の雲は、もくもくとソフトクリームで、耳の延長上には、不気味なモンスターの鳴き声がした、バンズのスニーカーはたのしく、鼻歌は恐ろしいメロディーだった、小人の男は、ある日、スーツのポケットに手を突っ込み、何かを探した、ごそごそと探す、見つけた手のひらに、乗せられていたのは、一粒のキャンディー、ああ!また、あのときと同じように僕がキャンディーをもらえたんだ、よかった!と僕はおもった、ただ、それだけの、話。
WONDER BOY 第8章-1 ヘイトが見たパークスグレイの秘密と羊飼いのコーラのあっけない話
羊飼いはコカコーラの缶を投げた、夢にまでみた、あの物語はあっけなく終り、鳴り続けた電話は到頭切れた、老いた老婆はその皺皺の手でドーナツを引き裂きスープに入れた、あいつは、いなくなればいい、黒い羊は13匹、白い羊は8匹いた、チョコレートは溶け、アイスクリームも溶け、残ったものみんな溶ければいい、僕が走って、どこまで走ればそのストーリーは捕まえることができるのだろう、あっけない話は、いつもで、僕は、あの灰色の公園で踞るあの子を、探し出せた、きのうみた、赤ちゃんの人形を持った太った少年は、あの駐車場で何をしていたのか、となりで、ガムで風船をつくりながらタップダンスを踊るあの老けた男は、今もまだその場所で踊っているのか、僕の頭の物語はすぐ終り、あっけない、それが、ずっと続くのは、ふかふかと寝心地のいいベッドみたいで、終っては終るそのストーリーを追いかける、羊を追いかけるように、フワフワとしたその生き物、動物、モンスターを、僕はどこまで追えばいいのだろう、どこに追い込むのだろう、コーラはおいしい、そしてまた、コーラの缶を、あちら側へ放り投げる、(残念だけど、いいよ)、そう言った羊に、僕は泣いた、あと何日眠ったらいいかな、違和感は、ただひとつだった、もう、ビッグマックとコーラはむかしみたいに美味しくない、バーガーキングのワッパーを買いに、僕は、BMXに乗って、また、羊を追うのだ!
i know you
真夜中の王様が、明け方のお妃を殴ったら、白雪姫が起きてきて、
ワニの時計をぶっ壊して、バンビはたのしそうに歌った、
毒林檎はいくつでもあって、何人も眠らせてきた、
深い森の奥にいる老いた魔女は、ただひとり、会いたい人がいただけ、
3人の中年の魔法使いは、街へで娼婦になって、
獣の様なおとこは愛されずもっと酷くなった、
鏡は割ってやった、
小さい男たちはニューヨークへ行き、
王子様は誰も助けない
when the midnight king punched the dawn princes,the Snow White got up from her bed,
and broke her crocodile clock, Bambi started singing.
there were many poisoned apples so it made many people asleep.
the old witch who stayed in the deep deep forest had just one person who wanted to meet.
the three middle aged witches turned to be prostitutes,
and the beast like man wasnt loved by anybody so he became more ugly more than ever.
i did broke the mirror!
small men had gone to NY,
and then prince didnt give a hand to anybody..
(ART SHOW ” I KNOW YOU”, new LYZINE8″i know you”)
WONDER BOY 第7章 スカートの男の祖母ハネルが話した新月の魔女と人魚の骨の歌の話、オスカーの決意
ぼくがスカートの男のとこらから帰ってきてスカートの男が死んだのを知るまでに変な夢をたくさん見た、そして昨晩の夢にとうとう彼のおばあちゃんが出てきたんだ、スカートの男は、人魚の歌声について教えてくれたことがある、人魚の歌は聞いてはいけないそうだ、スカートの男のおばあちゃんがよくいっていたようで、おばあちゃんは人魚の歌を聞いてしまったから死ねないといってた、そのおばあちゃんは、とても小さくて可愛らしく白い綺麗な髪を、三つ編みにしていてとてもやさしくお砂糖の匂いがする人だったそうだ、……<回想-スカートの男の祖母とスカートの男が5歳だった頃(語り手:スカートの男の祖母ハネル)ー、私は、いつも通り、木でできた私の母からもらった椅子に座り、孫は床に小さく座り大きな瞳をくりくりとさせて、私の話す物語を聞いていたの、私は孫の瞳に映る暖炉の小さな灯りが好きだった、そして私の話するたびに口に力を入れたり、呼吸が粗くなったり、かわるがわるの表情を見るのが好きだったわ、その晩は、孫は人魚の絵本を読んで聞かせてほしいと言ったの、でも、私には人魚とのある出来事があった、だから、その話を孫に聞かせてあげることにしたのよ、「この絵本もいいけれど、おばあちゃんがむかしに人魚にあった時の話を聞くかい?」孫は、持っていた絵本を、床にそっと置き、興味津々に、こくりと頷いたの、「あれはね、私が、14のときだったの、ここの土地から随分と南に行くとね海があってね、お前はまだ海にもいったことがないからわからないかしら?」孫は勢いよく首を振った、小さい指で人魚の絵本の表紙に描かれた海の絵を指差しながら、「そう、それね、それが海、良くしってるね、いつかおまえにも海をみせてあげたいね、むかしは海の近くに住んでいたからね、海に私はよく昼間ひとりでいっていたんだよ、母からね夜の海には恐ろしい怪物がいて近づいてはならないと言われていたからね、夜には決して近づかなかった、だけどね、その晩はちがった、どうして眠れなくてね、ずっとベッドで考え事や本を読んだりしていてね、窓をあけて夜空や海を見ていたんだよ、その晩は星がとても綺麗だけれど、新月でね月がよくみえない夜だった、新月になると魔女が森からやってくるという童話があるだろう?このまえ聞かせた話だね、私はね黒い夜の恐さにすこし怯えてね、なんだか外をみるのがおっかなかったんだよ、とても、新月の魔女はとても神聖で悪さはしないけれども魔力がとても強いから恐れられてたんだよ、そのせいかしらね、私はベッドに潜って隙間からちょっとだけ夜空を見上げていたんだよ、そうしたらね、やっぱりね、時刻が悪かった、ふたりのほうきに乗った魔女がね、暗い黒い空から舞い降りてきたんだよ、私はとても驚いてね、眼を疑って、思わず、窓から、身を乗り出して、魔女が降りて行った方向をみたんだ、ふたりの魔女は海岸の砂浜から、海のちょっと先にある岩場を見ていてね、私もそのあたりをしばらくみていたんだ、そうしたら、海面がうすーく青白い光を放ってね、なにかピョンピョンと跳ねているんだよ、私は、吸い寄せられるように、家を飛び出し海岸の方へ走っていったんだよ、海岸の近くまで行くと小屋があるからそこに身を隠してね、魔女と、岩場の方をみていたんだよ、魔女はね大きい魔女だった、身長も2メートル近くあったんじゃないかね、何やらね、海にむかって、瓶に入った液体を蒔いたりしていたよ、なにかの儀式だとおもってね、私はすごく心臓がドキドキしたけれどあのときは若い娘だったからこれから起こるすべてを見たい気持ちが強かったんだね、」私は孫の頬を軽く撫でた、つるつるであたたかくやさしいマシュマロの様な感触だった、私は孫を怖がらせないように微笑みかけ話を続けた、「そうしたらね、海面が白い強い光を放ってね、私も眼を瞑ったよ、あまりに一瞬だったけれど強い閃光だったんだよ、そうしたらなんだろう、聴いたことのない、コンコンポンポンした音色が聴こえてきてね、私は恐る恐る眼を開いてね、次の瞬間とても驚いて、躯が震えたのを憶えてるよ、魔女も大きかったがそれよりはるかに大きい、人魚が現れていたんだ、人魚の黒い魚の足は大きく動いて、海面を揺らしたけれど波の音は全くしないのよ、長く銀色に輝く髪は海とつながってる様で、眼も銀色に輝き、ともて恐かったの、そして、その人魚は海面に浮いたり沈んだりする骨の様なものを叩いてね、たくさんの数があったよ、不思議な音色を奏でたんだよ、そして、なにやら歌いだしたんだ、私はね、段々と心臓が痛くなってね、心臓が握りつぶされるのではないかと苦しんだんだ、魔女たちもねおなじようにね苦しんでいたようだった、私はね、顔や躯から汗のようなものが流れ出してね、躯も爆発してしまうんじゃないかと想って、這いつくばってその場から逃げたんだ、そこから、離れてもまだ苦しくてね、やっとの思いで家に着いて自分の部屋に戻ったんだよ、躯も髪も海に入ったように濡れていてね、窓から魔女や人魚を確認することもできずにベッドで丸くなって眠ったんだ、次の朝、私は、起きるとすべてゆめのように感じていた、悪い、こわいゆめをみたんだって、窓から、きのうの場所を見てもね、いつもとかわらない様子だった、よく晴れた日で、太陽はあたたかく、海は穏やかだった、やっぱり、ゆめだったんだと想った瞬間、私ははだけた白いパジャマの隙間から薄い赤とグレーを混ぜた様なものが見えたんだよ、私はねパジャマを脱いで鏡の前に立ったよ、私は驚いた、髪は白くなっていて、そうしたら、左胸の心臓のところに骨の形をした赤グレーの痣ができていたんだよ、私はまた震えてきてね、指でその痣を撫でると、トクン、と小さく鼓動がしたんだよ、私の母と祖母に正直に話すとね、母は涙を流したね、そして、村の奥の方に住む、祖母の友達の家へと連れて行かれたんだ、古く、汚く暗い家だった、木も葉も生い茂り、薬草の様な匂いがしてとてもいやだった、その祖母の友達はね、私の骨の痣を見るなり言ったんだ、『おまえは不死身の躯になったんだよ』と、私はとても不安とも恐怖ともちがく気持ちになってね、祖母は私の手を握り、母はまた小さく泣いていたね、『おまえ、人魚の歌と骨の音を聴いたんだね』祖母が小さく私を見ながら言ったんだ、私は、祖母の眼を見ながら小さく頷いた、『新月の魔女と人魚の骨の歌の言い伝えは本当なんだよ、まさかお前がその場面に出会ってしまうとは、、、、』 祖母の友達も私の手を握り哀れみの顔をした、『老いたのは髪だけで、白くなっただけで済んだんだね、、おまえはいつまでもその姿のままだよ、14歳から年をとることはない』私はね、白髪になった三つ編み触った、ぎしぎしとした触り心地だったけれど艶がありいい匂いがしたんだ」>これが僕がスカートの男から聞いた彼のおばあちゃんの話、おばあちゃんといっても彼が5歳の時も見た目は白髪の14歳だったそうだ、肌はしろくて綺麗で可愛い少女だったそう、そのスカートの男のおばあちゃんは彼が死んだことは知っているのだろうか、僕はそのゆめをみたときなんだか、使命感と言うかお告げを聞いた様な気持ちになったんだ、そして、スカートの男の少女のままのおばあちゃんに会いに行って話したいことがあると思ったんだ。
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